おっかけ!
私は、渚にどうして逃げたのかききました。なんとなく予想は、ついていますが…。
『逃げた理由…わかってるでしょ?』
『あっ…やっぱり相楽くんが…』
『しっ!』
渚は、私の口をふさぎました。やはり私の予想は、あたってたんですね。
相楽と渚は、幼なじみです。昔は、じゃれあうように遊んでいたのですが、あることがきっかけで、渚が相楽から離れてしまったのです。
あること?
ひっかかりますね。あることというのは、相楽が渚を好きになった、ということです。幼なじみとしてではなく、1人の女性として。
人を好きになるということは、悪いことではありません。でも、好きになった相手が幼なじみなんて…。驚くこてしかできませんよね。マンガの世界のようですね。
渚は、去年の夏に告白されたみたいです。幼なじみを急に恋人にすることなんかできません。
私もそう思います。こんな経験なんてしたことないので。
『小春ありがとっ。教室もどろっかぁ…。先生、職員室からもどってそうだし。』
『そだね。』
私と渚は、あけたくないドアをあけて、教室にもどりました。黒板には、渚と相楽の相合傘がかかれていました。
『だれ、こんなんかいたの!?ホントしょうもないわね。高校生にもなって…』
渚は、相合傘をけしました。
『はいっ!先生もいないし、みんな席について、自習でもして!』
『はぁ??なに?委員長だからしきってんの?!マジウケるんですけど。』
ずっと、渚と相楽をからっている1部の男子の中の1人の片桐翼(かたぎりつばさ)という男子だった。
そういえば、片桐は男子達にかこまれています。みんなは、片桐にこきつかられているようにみえました。
渚は、片桐がいったことを無視するかのように黒板に大きく『自習』とかきました。チョークと黒板がかすれる、いやな音がしました。
渚は、教室をでていきました。先生をよびにいったのだとおもいます。
私は、自分の席についてカバンの中から本をとりだしてよみだしました。
教室で本をよんでいるのは、ほんの数人でした。
まわりがうるさくて集中できません。何度も何度も同じページをよみました。
ガラガラ
教室のドアが開き、担任の先生と渚がはいってきました。渚は、先生にさっきのことをいいにいったのでしょうか。
あっ!違うみたいです。ただよびにいっただけみたいです。
先生がきたとたん、みんなは席にすわって静かになりました。
『先生がいないときぐらい、静かにまってたらどうなんだぁ?』
先生は、女だけど、とても男っぽいです。体育担当の先生ですし…。
『じゃあ、教科書とりにいくから…後ろから一番目と二番目の列の人は、1階の会議室に集合。』
先生は、私達をしめいしてきました。
『せんせー。なんで俺もなんすかぁ?』
片桐がそういった。片桐は、なんでもかんでも文句をつける、いやなやつだ。
『後ろのドアから出たほうが、階段に近いだろ?ちゃんと考えろ。』
先生は、横着な人なんですね。