おっかけ!


先生がいった通り、後ろドアから教室をでました。


片桐の席のまわりは、だれもいませんでした。みんな会議室に移動していましたので。


会議室は、とても広いです。たくさんのいすと机が並んでいます。


それぞれのクラスの教科書は、部屋のおくの棚の上に並べてあります。私は、ただのノートをクラス分もっていきました。

いろんな生徒とすれ違います。

バサバサ

後ろでたくさんの教科書が床につく音がしました。
振り向くと1人の男子生徒が落ちて散らばった教科書を拾っていました。身長も私と同じぐらいのこがらな人でした。


『大丈夫?』

『あっ…うん』

声も他の男子とくらべすこし高かったです。


『神山さん…ありがとう…。』

彼は、拾いおわるとお礼をいってくれました。

ちょっとまってください。なぜ彼は、私の名前をしっているのでしょうか?

『えっ?なんで私の名前しってるの?』

『だって…同じクラスだから…。』

『あっ!そーなんだぁ。』

誰だこいつ?しりません。

『うん…。僕…背も小さいし、影薄いから仕方ないよね…。』

『あっ…ごめんごめん。知ってるよぉ。アハハハ。じゃあ教室いこっかぁ。』

ホントに誰だろう。教室に戻ると私は、彼の席をさがしました。彼の席は、廊下側から数えて2列目の一番後ろの席の子でした。

身長も顔も女の子のようです。女々しいというかなんか…。





教科書をとりにいった人達が全員帰ってきました。先生もあがってきて、次の授業時間になりました。今回の授業内容は、席替えです。まだ入学してすぐなので、授業という授業はありません。すごく楽です。

渚が黒板に席替え表をかき、相楽がくじ引きをつくっています。くじ引きができあがるとみんなは、いっせいに席をたちあがりました。私もつられていきました。

1番にくじをひいたのは、片桐でした。

『俺、23ー。ってことは、後ろから2列目やぁ。ラッキー。』

23…。じゃあ絶対、17、18、24には、なりたくありません。あんなやつと同じ班になるなんてイヤです。

どんどん席がうまっていきます。やっと、私がくじをひける番がきました。長かったですね。くじ引きの紙は、ほんの数枚しか残っていませんでした。

私がくじをひいた番号は、18…。あっ…片桐のななめ後ろじゃん。最悪。

机の中のものを全部とりだして、あの席の机の中にいれました。


『なぁんだ…俺と班同じの1人目ってあんたかよ。マジありえねぇ…。もっと可愛い子がよかったぜ…。』

そんなこといわれても…。ひいちゃったものは、仕方ありません。私もここの席になりたかったわけじゃありません。正直、なりたくなかったです。

あなた好みの可愛い女の子じゃなくてごめんなさい。黒ぶちメガネかけててごめんなさい。前髪で顔隠してごめんなさい。

なんで私、こんなやつにあやまってるんだろう。








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