おっかけ!
お人形には、なりません。
4月19日。
『小春ぅ!昨日、先に帰っちゃうから、大変だったんだよぉ』
『あっ…ごめん…』
でも昨日、私もすごく大変だったんだよ。
キーンコーンカーンコーン
学校始まりのチャイムがなりました。隣をみると、榊原が寝ています。かわいい寝顔ですよ。
昨日、あまり寝ていないのでしょうか。
私は、榊原の机に手をおきました。
『おーい、榊原くん。先生きちゃうよ。』
小声でいいました。でも榊原は、動きません。
本当に寝ているみたいです。
榊原の頬をさわってみました。
少しあつかったです。顔をのぞきこむと、のぼせたような顔色をしていました。おでこをさわると、もっとあつく真っ赤でした。
熱?熱あるの?
そうおもいました。
5分後、担任の先生が教室にはいってきて出席をとります。
『安藤』
『はいっ』
『上神』
『はいっ』
出席番号順に名前がよばれていきます。
『神山』
『あっ…はいっ』
『北川』
『はいっ』
『榊原』
……
教室に空席などないのに、返事はありません。彼は、本当に眠っているのでしょうか。
『おい!榊原、返事ぐらいしろよぉ』
先生は、榊原の机までいって榊原の顔をあげました。
先生は、一瞬動きをとめました。
『おいおいおい!鼻血でてるぞ』
榊原の鼻から赤いものが…。それより、おでこが赤かったです。
保健室につれていけ、と先生にいわれました。
なんで私が…?
なんて言えずにいうとおりにしました。
榊原の腕を肩にかけて保健室へ。榊原ってみためと同様で、とっても軽かったです。へたすると、私より体重が軽いかも。
『せんせー。』
保健室にいっても誰もいません。先生を呼ぶ前に榊原をベッドに寝かせ、水と氷で冷やしたタオルをおでこにおきました。
榊原は、息があらく、はなしかけても答えてくれませんでした。よほどしんどいようです。
保健室の棚から温度計を探して榊原の口にいれました。温度がどんどんあがっていきます。最終温度は、40.1でした。
高熱ですね。私は、今まで生きてきたなかでこんな高温、でたことありません。
榊原の顔から水滴なようなものが。タオルからおちた水でしょうか。それとも汗でしょうか。