おっかけ!
4月21日。
今日も隣の席は、空席でした。
この間、お母さんもおばあさんも家にいなくて、孤独だといっていたので今日は、榊原の家に寄って帰ろうとおもいます。
昼休みに先生に榊原の住所をききにいきました。
榊原の家は、さほど遠くなく、徒歩でいける距離でした。
気が付くと学校から歩いてもう23分がたっていました。
それから、途中にあったコンビニでスポーツドリンクと菓子パン2つを購入しました。
5分後、榊原の家の近くまできました。
でも、榊原が住んでそうな家、もしくは、アパート、マンションはありませんでした。
まわりをみわたすと、大きな立派な家ばかり建っています。
よくよく考えてみれば、この榊原の住所は、高級住宅地にあたります。
1人暮らしの男、ましては、高校生の男がこんな住宅地で毎日を過ごしているのでしょうか。
でも、あんな話を嘘とはいわないでしょう。
2番地の7。この列に榊原の家が並んでるのだと思います。
7に並んでる家は、全部で14件。どの家も大きいです。
あった…
榊原の家は、西から数えて8件目の家でした。
表札に『榊原』とかいてあります。
このへんに榊原という表札は、ここ以外ありません。
インターホンをならしました。
『はい?』
インターホン先からは、女性の声がしました。
高くて、とても綺麗な声でした。
『あっ…あの…榊原くんと同じクラスの神山といいます。』
『今、玄関あけますので、中に入ってください。』
その直後に、榊原くん家の白い門が開きました。
お言葉にあまえて、榊原くん家の家に一歩足を踏み出しました。
目の前には、一本の細い道。その道を囲うように、黄緑色の草が生えています。所々にたくさんの色の花がはえています。
ドアの前に立つと、自動に開きました。
『いらっしゃい。』
ドアのおくには、きゃしゃな女の人がいました。
『つかさに用があるのかしら?』
話し方もお上品でした。
『榊原くんのお母様でいらっしゃいますか?』
『そうですよ。』
あれ…
お母さんっていないんじゃないの…
『あれ…お客様かね?いらっしゃい。』
たまたまトイレからでてきたおばあさんらしいかたが私の前を通りすぎました。
『失礼ですが、今通った方は、おばあさまですか?』
『そうですよ。あっ…つかさよんできたほうがいいかしら?』
『いえ…』
お母様がいて、おばあさまがいて…。
あの話は、嘘なのですか?
『これ…榊原くんに渡してください。』
コンビニで買ってきた、ものを渡しました。
180度回転した時、私の目に一枚の写真が入ってきました。
『これは…?』
『あぁ!これ?これは、つかさが5歳の時にとった、七五三の写真よ。つかさの隣にいるのが6つ歳上のお姉ちゃん。その隣が…』
『あの…失礼します。』
私の目からは、自然と涙があふれていました。