吹奏楽部の恋愛事情
美術室をダッシュで飛び出し、
午前中練習していた教室で体育座りをしていた。
彼氏に、好きな人にあんな暴言吐くなんて最低だ・・・
私は本気でキレると、
つい感情的になってひどい事を言っちゃう癖がある。
だから、
普段はめったにキレたりしないんだけど・・・
ほんと最悪だ_____________________
一人で目に涙をためながら、
自己嫌悪におちいっていた。
しばらくすると、
ガラッと教室の扉が開き、
吹部のメンバーが入ってきた。
私は急いで涙をふき、
できる限り笑顔でみんなの方を向いた。
「あれ、愛ここにいたの?
どう?少しは落ち着いた?」
優しく話しかけてきたのは、
私の友達でユーホニウム担当の、
竹田由舞(たけだゆま)。
吹部の中でもよく話す方で、
いっつもバカな事言いながらふざけるような関係なんだけど・・・
でも、
今はそうやってふざける元気は持ち合わせていなかった。
「うん、大丈夫だよ。
ありがとう、きにかけてくれて・・・」
ニコッと微笑みながら、
お礼を言っておいた。
そうしたら、
なんとなく由舞の顔もほころび、
みんなで適当に雑談を始めた。
今日は先生もいないから、
きっと練習はしないんだろうなぁ・・・
みんなはさっきの喧嘩の事には、
触れないでいてくれるようだ。
やっぱ優しい子ばっかりだなぁ・・・
少しだけ気持ちが軽くなり、
さっきの憂鬱が晴れてくるようだった。
そんな時、
ガラッ____________________!
「・・・・・・」
悠人が教室に入ってきた。
バッチリ目が合ったが、
気まずくてはサッと反らしてしまった・・・
「あ、悠人。
さっきどこ行ってたの~?」
さりげなく空気を読んで悠人に話しかけたのは、
悠人と同じホルン担当の、
北山舞奈(きたやままな)。
とっても可愛いい子で、
男子からも人気がある。
でも、少し裏があるみたいだけど・・・
「あ、ちょっと桃華と春貴と話してた。」
「あぁ~、なるほど。
仲良いもんね~!」
悠人はどこか気まずそうに答えた。
私もなんか話しかけづらくて、
由舞と雑談を続けた。
チラッと悠人を見ると、
舞奈と魅瑚と一緒に話してた・・・
魅瑚と悠人は割と仲良くて、
たまに悠人と話している所は見かけてた。
でも、なんでだろ・・・
吹部は男子が3人しかいないから、
女の子と話すのを見るのはよくあるんだけど・・・
今日は何故か胸の奥がモヤモヤして、
由舞の話もよく聞けないほどだった・・・