吹奏楽部の恋愛事情
一応セクション場所に来たものの、
今日は愛羅と一緒なセクションだから、
なんか、すげー気まずい・・・
さっきから舞奈と魅瑚と話してるけど、
内容が頭の中に全然入ってこない。
チラッと愛羅の顔を見ると、
由舞と途中から会話に入った達遥と楽しそうに話してた。
達遥(たつのり)はフルート担当で、
背が低く、
愛羅が可愛い!と絶賛していた男子だ。
まぁ俺も達遥とは友達で、
いつもなら愛羅と話してても特に気にならなかったけど・・・
でも、何故だか今は、
物凄く気にくわなくて、
達遥の事を初めて憎たらしいと思った。
「ねぇ!悠人聞いてんの!?」
「へぁ!?え、何?」
いきなり魅瑚が俺に話をふってきたが、
俺はまったく話しを聞いてなかったため、
つい変な声が出てしまった・・・
「だから~、
今度の休み悠人の家で遊ぼうって言ってん!」
「あぁ、なんだ、そんな事か・・・
まぁ、いいけど、誰と?」
「うちと舞奈だけど・・・」
まぁ、2人くらいなら平気かな。
「わかったよ。」
俺は手短にそう答えておいた
すると、
突然愛羅が立ち上がった・・・
「え、ちょ、どうしたの・・・?」
由舞や達遥や他のみんなも、
いきなり立ち上がった愛羅に驚き、
みんなが愛羅に注目していた。
とうの本人はみんなには目もくれず、
つかつかと教室の扉まで歩き、
ガラッと勢いよく扉を開くと・・・
「私、ちょっと用事を思い出したからいってくるね?
あ、そうだ悠人~。」
いきなり名前を呼ばれ、
驚いて顔を見ると、
今までに見たこともないような満面の笑みで・・・
「大っ嫌い、もうあんたなんていらないから。」
それだけ言うと、
ピシャッと勢いよく扉を閉め、
どこかへ行ってしまった・・・