鳥かごの少女
「……あの」
「あら、なあに?」
「お嬢様は記憶をなくしていると、伺ったのですが、本当なのですか?ご両親や友人のことは…」
「おぼえてないの。…じぶんのなまえもすがたもかぞくのことも」
「……そう、ですか」
それきりなんとなく空気が重くなり、アンナは話すことを躊躇った。
少女の…コリンヌの背中が震えて、たまに鳴咽が聞こえてもアンナは何も言えず、ただ傍にいただけだった。
コリンヌ。
不幸な少女を私は知っている。
まさか、彼女とまた会うことができるなんて。