TABOO ⅩⅡ~最後の秘密~
挨拶に行ってた彼が戻って来て、思い出はそこで途切れた。
「行くか」
頷いて車に乗り込む前に、ふと見上げたあの部屋の窓。
白いカーテンにハッキリと映る影を見て、目を見開いた。
「…嘘じゃなかったんだ…」
「どうした?」
隣から覗き込んでくる彼に笑いながら首を横に振り、シートベルトを閉めようとした時。
隙間にキラッと光る小さなものを見つけ、拾い上げた。
見覚えのない片方だけのピアス。
「結衣?」
数秒見つめた後、「なんでもない」と元に戻した。