【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
いまだって、こんなふうにおどけてみせる彼だけど───忘れられないのは。
時折見せる、憂いを帯びた表情と。
たまに、なんの表情も読み取れないような無機質になるあの瞳。
そんな瞳をされる度に、彼が壊れていきそうな気がしてしまって。
怖くて───……。
だけど香坂は、いつもそれを何事もないかのように隠そうとするから、私も深くは突っ込んだりしない。
───……そんな奥深くまで、踏み込めるような立場でもなんでもないから。
「ねえ、委員長」
「……なに」
「お祭り、一緒に行こっか」
だから、せめて。
そう言いながらニコニコと笑ってる香坂を、無下にしたりしたくなくて。
「……いいよ」