【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
委員長はいつだって、そうやって俺の心
を一瞬で拐っていくから。俺はまた、委
員長に溺れていくんだ。
委員長の言葉に一瞬泣きそうになりなが
ら俺は笑みを浮かべてみせた。
「大丈夫、なんでもない……」
なんでもない。
ただ、俺がつまらない嫉妬をしただけで
。
委員長の気持ちが俺に向いていない事く
らい、わかってたのに。
だけど、それともうひとつ、別の感情。
俺は……俺は、委員長を失うことが、怖
くて。委員長が誰かのモノになってしま
うことに怯えていた。
また、"大切な人"が俺から消えてしまう
事に、怯えていたんだ。
思い出されるのは、あの日の痛み。
女が非情で穢らわしい生き物だと、脳内
にインプットされた、あの日。
恋なんて愚かなもの、しないと決めた、
幼いあの日──。