【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
四章『文化祭』
◇その瞳に映すモノ ─希美side
「どうして誰にも頼ろうとしないの…」
ふと気付いたら、そんなことを言ってい
た。
その瞬間、微かに香坂の瞳が揺れる。
私はそんな香坂から目を逸らさないよう
に、香坂を見つめる。
香坂に無理やり押し倒されて、キスまで
されて。普通なら、もっと怒ってもいい
んだろうけど。
家に帰ってからも、考えるのは香坂の事
ばかりで。
香坂の苦しそうな瞳と、無機質そうな瞳
が離れてくれなくて。
そんな香坂が、とても脆くて、危ういと
思った。
だから香坂に、こうしてこんな言葉をか
けている。
だってなんだか、怖かった。
無理に笑う香坂が今にも崩れてしまいそ
うで、怖かったの──。