【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
それに今は……香坂が、いつか壊れてし
まいそうなのが、酷く、怖いから。
「でもよく話してるから……てっきり希
美が香坂のこと好きなのかと思って、妬
けた」
「や、妬け……っ!?」
シレッとした顔でそんなことを言うから
、思わず口を金魚が餌を求めるみたいに
パクパクとしてしまう。
ああもう。そんなことを平気で言うの、
やめてほしい。
……期待、しちゃうから───。
「……香坂……禊、か……」
一人で照れていた私は、和馬君が切なそ
うにそう呟いていたのには気付かなかっ
た。
私達三人の、複雑に縺れ合った糸に、私
は気付いていなかったんだ───。
◆◆◆
「両手に花ね~」
うっとりとしたように萌がいきなりそう
言ったのは、文化祭当日の朝だった。
当日は地獄みたいに朝から忙しくて、死
に物狂いで準備しているというのに、萌
はいきなり何を言ってるんだか。