【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
―――なんでそんなに構うのよ。
「……委員長……?」
ふと気付くと、さっきまで燃えるように
瞳を煌めかせていた香坂だったのに、今
はその瞳に困惑の色を落としている。
それから、私の両腕を掴んでいた手をそ
っと離すと、その指先で、私の目の下を
スッとなぞった。
それから、悲しげに私を見下ろす。
「―――泣くなよ……」
え…。
そう言われて私は初めて、自分が泣いて
いる事に気づいた。
今まで、人前で泣いた事なんて無かった
のに、なんで―――
私は自由になった身体をぐいっと横に向
け、シーツと髪の毛で、泣き顔を隠す。
誰にも見られたくなかった。
「怖かった……?」