【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
すると、その人──千枝さんの肩がピク
リと跳ね、千枝さんは顔を上げて、私を
見上げた……けど。
なぜか頬をぷくっと膨らまして、不機嫌
そうだった。
この可愛い女の人、千枝さんは和馬君の
お母さん。
幼い顔立ち……いわゆる童顔なのと、ふ
わふわの髪の毛で余計に幼い印象を持て
る。
少なくともお母さんより五歳は若く見え
る。実際は同い年らしいんだけど。
なんて思っていたら、千枝さんが膨れっ
面のまま、ポカポカと私のことを叩いて
きた。
「え、ちょ、千枝さん?」
「う~っ……。また千枝"さん"って言っ
た!前までは千枝ちゃん、って呼んでく
れてたのに……!」
どうやら呼び方が気に入らないらしく、
涙目になりながら私を睨んでくる。
その姿が思いがけず可愛くて、胸がキュ
ンとしてしまう。
高校生にもなって、同級生のお母さんを
ちゃん付けはどうかと思ったんだけれど
も。