【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
わからない。
そんなの、わかんないわよ。
なんでこんなに涙が溢れてくるのかも、
触れられた手首が熱いのかも。
香坂の切なげな声に胸を痛めてる自分も
よくわからない。
香坂は、ギシッとベッドを軋ませながら
、私の顔にかかった髪の毛を退かそうと
する。
「触らないで!」
思わずそう言って、香坂の手を振り払っ
てしまう。
香坂に触れられると、変になる。だから
嫌なの。
「悪かったよ……。ゆっくり休めよ」
不意にそんな言葉が聞こえてきたと思っ
たら、次の瞬間耳に届いたのは、保健室
のドアがしまる音だった。
―――これが私と香坂の運命の歯車が、
廻り始めた瞬間だった。