【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
その男は、俺を見るとそう呟いた。
放課後の教室、俺以外、誰も居ないその
空間で出会したのは、市原だった。
俺はチラッと市原を一瞥してから、通学
鞄に教科書を詰め込んで肩に掛けた。
その時、委員長の机にはまだ鞄が残って
いて、これからこいつが委員長と一緒に
帰るんだろうと思うと、苛立ちが一気に
膨らんだ。
……最悪。
そう心の中で毒づきながら、市原の横を
通りすぎようとした時。
「あんたも、希美が好きなんだろ?」
そう市原が言うから、思わず俺は立ち止
まった。
そして、市原を睨む。
「だったら、なに?」
希美には近付くな、とか言って、牽制で
もするつもり?
──だけど。