【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~





その女の人が入ってきた瞬間、空気が変
わったのがわかった。



父さんをこっそりと見上げれば、父さん
は険しい表情で目の前の女の人を見てい
て。



ピリリ、と肌を刺すような雰囲気に、思
わず眉を潜めた。



誰だ……?この人。




最初こそ、客観的にみればとても綺麗な
女の人だと思ったけれど、その印象はす
ぐに変わってしまった。



父さんと母さんの様子からして、この人
が俺たち家族にとっていい人ではないの
はわかっていたし、なにより。



その女が、父さんを見つけたときの、嬉
々とした瞳と、不気味に歪んだ口が、怖
かった。



「……香坂、急になんの用だ」



低い声でそう告げる父さん。どうやらそ
の女は、香坂というらしい。



女はそんな父さんに、クスリと笑ってみ
せた。



「今日は、健二さんと二人でお話がした
くて来たの」





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