【完】保健室で君と××~プレイボーイとイケナイ恋愛授業~
◇本物の恋心 ─希美side
「バイバイ、委員長」
───そう言って小さく微笑んで去って
いくその背中を、私は追いかける事が出
来なかった。
香坂の言葉がぐるぐると脳内を巡る。
今、いくら香坂を引き留めても、香坂は
止まってくれないって思った。
それに、こんなにぐらぐら揺れる心で、
香坂に触れるなんて出来なかった。
同情?
そんなはずない。同情なんかで、私は香
坂の傍に居たんじゃない。そう思ってる
ハズなのに。
香坂にこの気持ちは同情だって言われた
時、まるで後頭部を鈍器で殴られたみた
いに、衝撃が走った。
同情なんてそんな選択肢、考えてもいな
かったから──。