K・K・K
次の日の朝目を覚ますと、めずらしく母親が台所に立っていた。
「おはよう・・・。」
母は、リビングのソファーに腰掛けて朝のニュース番組を見ていた。
モジャモジャの髪をかきあげながら、香は蛇口からコップ1杯の水を飲んだ。
(今日は、いるんだ。)
「香、来週の月曜日はわかってるよね!」
母は、相変わらずTVから視線を外さずにいた。
香は、ゆっくりと母の向かい側に座って、母をみてうなずいた。
「良かった。その日はお父さんも来るから・・・。」
香はまたゆっくりとうなずいた。
香の父親は、1年前に家を出た。
それは、香の高校の入学式の日の次の日だった。
この家にいるのがたえられなかったんだと思う。
一人息子を亡くしてしまったんだから・・・、仕方ない。
香はそう思っていた。
母は、フリーのジャーナリストとして働いていた。
昼も夜もなく、全国に飛び回っていた。
だから、家にいても顔を合わせることはまれだった。
自然と料理も上達したし、掃除や洗濯も自分でできるようになった。
(どうせ顔を合わせても、会話なんてできないし、それを悲しそうな眼で見られるのもイヤだ。)
と香は思っていたので、ちょうど良かったのかもしれない。
香は早めに朝食をすませると、カバンからi-Potのイヤホンを取り出して、
両耳を塞いだ。そして、そのままカバンを右肩にかけると、何も言わずに家を後にした。
「おはよう・・・。」
母は、リビングのソファーに腰掛けて朝のニュース番組を見ていた。
モジャモジャの髪をかきあげながら、香は蛇口からコップ1杯の水を飲んだ。
(今日は、いるんだ。)
「香、来週の月曜日はわかってるよね!」
母は、相変わらずTVから視線を外さずにいた。
香は、ゆっくりと母の向かい側に座って、母をみてうなずいた。
「良かった。その日はお父さんも来るから・・・。」
香はまたゆっくりとうなずいた。
香の父親は、1年前に家を出た。
それは、香の高校の入学式の日の次の日だった。
この家にいるのがたえられなかったんだと思う。
一人息子を亡くしてしまったんだから・・・、仕方ない。
香はそう思っていた。
母は、フリーのジャーナリストとして働いていた。
昼も夜もなく、全国に飛び回っていた。
だから、家にいても顔を合わせることはまれだった。
自然と料理も上達したし、掃除や洗濯も自分でできるようになった。
(どうせ顔を合わせても、会話なんてできないし、それを悲しそうな眼で見られるのもイヤだ。)
と香は思っていたので、ちょうど良かったのかもしれない。
香は早めに朝食をすませると、カバンからi-Potのイヤホンを取り出して、
両耳を塞いだ。そして、そのままカバンを右肩にかけると、何も言わずに家を後にした。