思い出の中の君へ【TABOO】
桜祭り
「満開だな! すごく綺麗だ」
都会育ちの彼には川沿いの桜並木が延々と続く景色がとても珍しいらしい。
携帯を片手に写真撮影をしながら、歓声をあげてくれた。
「こっち見て、笑って」
桜に負けないように満開の笑顔。
彼と付き合って五年。仕事の休みを合わせて地元に戻ってきたのは、両親に結婚報告をするためだ。
会社でも誰とでもすぐに打ち解けてしまう彼が両親に気に入られないことなんてなくて、結婚は快諾された。
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