思い出の中の君へ【TABOO】

「ここすごい好き。君が育った街は素敵だね」



 赤面してしまうような甘い囁き、手を引かれて彼とゆっくりと歩む。

 この人の隣で一生歩んでいくことの幸せをかんじながら、桜祭りの中心にある神社の境内に足を踏み入れた。



「お参りしていこうか、もっと幸せになれますようにって」

 狛犬の間を進み、石の階段をあがる。真っ赤な鳥居をくぐって社まで来ると、特別大きな桜の木が私たちを待っている。




────あの日、思い出の中の君が色鮮やかに蘇る。


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