思い出の中の君へ【TABOO】
高校生の時に仲のいい男友達がいた。彼は真面目で学級委員をしていたけど、私といつも連んでいて彼には宿題まで助けてもらっていた。
高校を卒業して、クラス皆でこの桜祭りに来た。
『二人だけで話したいことがある。神社の桜の下で待ってるよ』
そう囁いた彼に曖昧に頷いた。
私は東京の大学への進学が決まっていたし、彼は地元の大学へ行く。もうすぐ離れ離れになってしまう。
階段を駆け上がり、彼の元へ急いだ。
思い出の中の君は、俯いて私の顔も見れずに黙り込んでいる。
『話ってなに?』
訳が分からず、少し強い口調で言い返してしまうと彼は不安そうな顔をした。