危険な撮影会

あれから八年、恋愛禁止はなくなっていた。


恋人との甘いひと時という設定の撮影でスタジオにいた私は、監督から『思わずイキそうになるような、濃いのをお願いね』と注文され、苦笑いしていた。
そこで紹介された相手役が、賢人先輩だった。


「はじめまして。あみちゃん」


どうして……。
動揺してることを周囲に知られないよう冷静を装うけど、息が止まりそうで苦しい。

初対面のフリをされ、心臓が抉られたような痛みが走った。


人当たりのよさそうな笑顔。
だけど、その裏には誰にも見せない黒い部分がある。

差し出された手に自分の手を重ねたら、強くきつく握りしめられて。

危険な撮影が幕を開けた——。
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