この涙に問いかける(TABOO+マラソン)
喉元を抑え離れていく後輩を見送ってから、私はすぐにランナーへ視線を戻した。

「……っ」

人と人の隙間にちらりと見えた灰色のウエアに、なぜか鼓動が高鳴った。

今日広瀬君がどんな格好をしているのか知らなかったし、あえて聞くこともしなかった。

それなのに、私は彼を見付けてしまった。

力強い瞳で少し前を行く修汰を、睨むように見つめている。

その姿に、私は目を離せなくなった。

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