始まりも、終わりも……
22時過ぎだというのに遠慮なくメールを送りつけてくる犯人は、幼馴染の伸次郎。
なんでもざっくばらんに話せる間柄になってしまったが為に、すっかり気の合う飲み友達。
「誘っといてなんだけど、お前もこんな時間に飲んでないでデートくらいしたらどうなの?」
「デートくらいしてたから大丈夫です!」
少し前まで別れを決めてたはずなのに、見栄を張ってしまうのは悔しいから。
この目の前の男を忘れてしまいたいから。
なんて、一度も忘れられた事無かったんだけどさ。
一緒にこうやって何でも話せる関係が心地良過ぎて、だからこそ好きだなんて言えなかった。
この関係が壊れてしまうのが怖かった。
男なんて無数にいる。
伸次郎とは友達のままで、色んな恋愛をすれば絶対に伸次郎以上の相手がいるって思っていたのに……何で出会えないの?と悔しくなる。
一方の伸次郎は人の事をけしかけるくせに全く恋愛のそぶりを見せない。
理想が高いのかなんなのか。
いっそ彼女を作ってくれた方が楽になれるのに……。