明日、あなたが目覚めたら
するとそんな私に気づいたのか、智のお母さんがくすりと笑って。
「智が教えてくれたのよ」
そう言った。
……智が?
一瞬、その事実に驚いたけれど、「あ、中学生の頃にか」と思ってすぐに納得する。
だって、今の智が私のいないところで私のことを話すなんて、そんなはずはないもん。
……と、思っていたのに。
「いつだったかしらね、1週間くらい前かしら?」
「え……?」
その言葉に耳を疑う。
1週間前? そんな、最近……?
「智が、そろそろ千沙が嫌がる季節だなあって」
いつまでたっても仲良しねえ、と笑う智のお母さんに、私は「えへへ」とあわてて笑顔をつくってみせた。
……いつまでたっても?
そんなはずは、ない。
中学を卒業するまでは確かに、表面上は変わらない関係だった。
仲良しな恋人だった。
だけど、あの卒業式の日から、確かに私たちの関係は……目に見えて、悪くなっていたはずだ。
私は大好きなままだったけれど、智は、きっと……。