明日、あなたが目覚めたら



するとそんな私に気づいたのか、智のお母さんがくすりと笑って。



「智が教えてくれたのよ」



そう言った。


……智が?

一瞬、その事実に驚いたけれど、「あ、中学生の頃にか」と思ってすぐに納得する。


だって、今の智が私のいないところで私のことを話すなんて、そんなはずはないもん。

……と、思っていたのに。



「いつだったかしらね、1週間くらい前かしら?」


「え……?」



その言葉に耳を疑う。

1週間前? そんな、最近……?



「智が、そろそろ千沙が嫌がる季節だなあって」



いつまでたっても仲良しねえ、と笑う智のお母さんに、私は「えへへ」とあわてて笑顔をつくってみせた。


……いつまでたっても?

そんなはずは、ない。


中学を卒業するまでは確かに、表面上は変わらない関係だった。

仲良しな恋人だった。


だけど、あの卒業式の日から、確かに私たちの関係は……目に見えて、悪くなっていたはずだ。


私は大好きなままだったけれど、智は、きっと……。


< 105 / 166 >

この作品をシェア

pagetop