明日、あなたが目覚めたら
「智……‼」
ぼろぼろ、ぼろぼろ。
大粒の涙が無遠慮にあふれて、真っ白なシーツを濡らしていく。
まだ何がなんだか状況を理解できていないんだろう。
智はきょとんとしたまま私を見つめている。
でもそんなの、私はお構いなしだ。
「よかったあ、智……!」
「あ、の……いっ⁉」
起き上がろうとしたのか、ゆっくりとベッドに手をついた智の表情に苦痛が走る。
「だ、大丈夫……⁉ 無理しないで!」
「……あの、」
「なに? あっ、そうだナースコールを……」
横になるように智を促して、智のお母さんにも頼まれていたナースコールを押そうとした。
けれど。
「ーーきみ、だれ……?」
……押せ、なかった。
その指先から力が抜けて、ふにゃりと折れ曲がったそれは行き場をなくす。
「え……?」
理解し難いその言葉に、私は恐る恐るそちらを振り返った。