明日、あなたが目覚めたら


今、なんて……?
彼はいったい、なんて言ったの?


そんな私に、また、似たような言葉が飛んでくる。

それは、そう。



「ごめん。 だれ、ですか……? 」



……まるで、トドメを刺すように。



「……っ」


「どこかで会ったことあった、かな……?」



口を動かす度にどこか痛そうに顔をしかめながらも、一生懸命に、彼は他人行儀に言う。


やめて、やめてよ智……。

そんなの笑えない。



「っ、あは……智、なんの冗談……」



頑張って頑張って頑張って。

振り絞ってやっと出てきたのは、渇いた笑い声。


今、いったい私はどんな顔をしているのだろう?

きっと、すごくひどい顔をしている。



そんな私を見て、智は困ったように眉を下げて言い放った。



「……本当に、だれ?」



それは、悪意なんてひとつもこもっていない、私に対する純粋な問いかけだった。


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