明日、あなたが目覚めたら
わからない、何がどうなってるの……?
だって、私は、智の彼女で。
智は、私の彼氏で。
中学生の頃から付き合っていて。
なのに……
知らないはずなんて、ないでしょう?
ねえ、やだよ。 やめてよ、智。
……ああ、頭の中がもうぐちゃぐちゃだ。
「ねえ、冗談だって、言って……っ」
智の大きく見開かれた瞳に映るのは、泣き崩れる情けない私の姿。
……ねえ、智。
そんな瞳で見ないでよ。
どうしていいかわからないって戸惑いを、そんな露骨に表さないで。
がらり、と小さな音をあげて扉が開く。
「ただいまー、遅くなっちゃってごめんねえ。 自販機の前で、お父さんと会っちゃ、って……」
このどうしようもない空気を破ったのは、智のお母さんの明るい声。
だけど、それもすぐに驚きに変わって。
「千沙ちゃ、どうしたの……⁉」
たぶん普通じゃないであろう私の姿を見た智のお母さんが、あわてて私に駆け寄ってくる。