明日、あなたが目覚めたら
「ちぃちゃん……?」
突然、頭上からふってきたその声。
人が入ってきたことになんて、全然気づかなかった。
そんなばかみたいな呼び方をするのは、たったひとりしかいなくて。
なんでいるんだ、なんて思いながらも私は小さくその声にこたえた。
「なんでずか、真波せんぱ、い」
「うわ、ぶさいく」
「…………」
泣いてる後輩にそれはないだろう。
だけど、率直すぎるその真波先輩らしい一言に、ふっと肩の力が少しだけ抜けた。
すとん、ととなりに真波先輩が座る気配がする。
「なん、で、ここ……」
「休憩スペースに入ろうとした人たちが一瞬で踵を返すから、いったいどんな厳つい人がいるのかと思って」
「……まじでずか」
私、めっちゃ迷惑なやつじゃないですか。
うつむいて顔を覆ったままそう言うと、「あはは、本当にね」と真波先輩はケラケラ笑って言う。
……この先輩、ほんとうに遠慮の “え” の字もないな。