明日、あなたが目覚めたら



そういえば智には、『千沙は、実は繊細でもろいよね』と言われたことがあったような気がする。


あれは、いつのことだっけ。

ぎゅっと瞼を強くつむったそのとき。



ヴーヴー、とスマホが揺れる。

……メールだ。


開けばそれは、智のお母さんからのものだった。




『千沙ちゃん、昨日はごめんね。

千沙ちゃんに、ちゃんと話しておかなければならないことがあります。

今日でもいいし、明日の学校終わりでもいいので、病院に来てくれると嬉しいです。


本当にごめんね』




電話じゃなかったことに少しほっとしながらも、 “ごめんね” と冒頭と締めで二度も書かれたそれに、また泣きそうになる。


目尻にじわりと滲んだ涙を、私はあわてて拭き取った。



「今日か、明日……」



正直、今はまだ…… “ちゃんと話しておかなければらないこと” を受け止められる自信がない。


でも、だからと言って明日になれば受け止められるようになるのかと言えばそうじゃないだろうし……。


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