明日、あなたが目覚めたら



スマホを手に、頭を抱えること十数分。



「……よし」


体を起こして、私はようやく文字を打ちはじめた。




『私こそ、急に帰ったりしてすみませんでした。

明日、学校帰りに病院に寄らせてもらいます。』




送信、という文字をタッチしてから、ふうっと息を吐き出す。



この2日間にいろんなことがありすぎたから。


だから、今日はゆっくり、なにをするわけでもなくぼうっとしたかった。

気持ちの整理を少しでもしたかった。



「……なんて、ね」



はっ、と自嘲気味に笑う。



そんなの、言い訳。


少しでも、逃げていたかった。

少しでも、知らないままでいたかった。


きっと、つらくて悲しいであろうその事実に、向き合う勇気がなかったんだ。



本当は、ただそれだけ。




……弱くてごめんね、智。


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