明日、あなたが目覚めたら



まったく。

なにをどう見たら、私が血まみれに見えたんだか。



「……智と私を見間違えたりしたのかな」


「とも……?」



つぶやいた私に、麻衣子が首をかしげる。



「ほら、金曜日話したでしょ?

私の……彼氏」



……なんでだろう?

“彼氏” と口にすることに、ちょっとだけ戸惑いを感じる。



べつに普段も、智のことを “彼氏” と大っぴらに公言していたわけじゃないけれど。


でも、それでも必要なときには智のことを “彼氏” だと言っていたし、 智のことを“彼氏” と言うことに戸惑いを感じたことはなかった。



だってそれは、智だって私を “彼女” と言ってくれていたから。


あんな関係になってしまっても、「どういう関係?」と聞かれれば絶対に、「彼女」とハッキリとこたえてくれていた。



だから、私は自信をもって智のことを “彼氏” だと言えていたんだ。


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