明日、あなたが目覚めたら
だけど、昨日は……どう?
昨日、智は私のことなんて覚えていなくて。
まるで初めて会ったみたいに他人行儀で。
智の目に映った私は完全に……
赤の他人、だった。
「……ああ、だからかな」
智を “彼氏” と呼ぶことに、戸惑いを感じたのは。
「彼氏さんが、事故に遭ったの……?」
「あ、でも、ちゃんと無事だからね?
リハビリをしたら、普通の生活になんの支障もないみたいだし」
遠慮気味にきいてきた麻衣子に、口角をあげて、なるべくいつも通りを装いながら答える。
すると、麻衣子も「そっか……!」と安心したように笑って。
うん。智は、ちゃんと無事。
リハビリをすれば、普通の生活になんの支障もないくらいに回復できる。
それは本当。
……だけど、
今までと同じような毎日に戻れるのかと言えばきっとそうじゃない。
だって、きっと、彼は。