明日、あなたが目覚めたら
.



智のお母さんと待ち合わせをした病院内にあるカフェ。

その中に入ることなく、すうっと大きく息を吸うこと、数回目。



……こんなことずっと繰り返してる場合じゃないんだって。

目的地は、もう目の前なんだから。



「……大丈夫、大丈夫」



先輩の言葉をマネするみたいにして、小さくつぶやく。


そしたら、「なにしてんの、私」って笑えるのと同時に、少しだけ肩の力が抜けた。

……先輩のてきとうパワーのおかげかな。



よし、次こそ。


すうっとまた息を吸い込んでから、私はその中に足を踏み入れた。



「あ……」



入ってすぐにその人を見つけた私は、その席に近づく。



「……こんにちは」


「あ、こんにちは、千沙ちゃん」



2日前よりも少しやつれたように感じる、その笑顔。


私はそっと視線をずらした。


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