明日、あなたが目覚めたら



「関わらないでって言うわけじゃない、また一からやり直してほしい、なんて言われたけど……そんなの、無理だよっ」


「ちぃちゃ……」


「苦しいよ、あんなにもキラキラしていた思い出たちを全部私だけが覚えているなんて、そんなの……!」



あのね、なにも中学の頃の思い出だけが輝いていたわけじゃないんだ。


高校生になってからだってね。

智は、私のことは嫌いだったかもしれないし、中学の頃よりうんと冷たくなってしまったけれど。


それでもやっぱり、変わらず私のことをわかってくれていて、さりげない優しさだってたくさん与えてくれていたんだ。


全部が。

智といた全部の記憶が。



私にとっては何よりも大切で、何よりもキラキラと輝いていた宝物。



それを、たったひとりで覚えておくの?

たったひとりで、持ち続けるの?



あなたが忘れても、私が覚えていれば大丈夫。

……なんて、そんなドラマのヒロインみたいにかっこいいことは言えないよ。


< 139 / 166 >

この作品をシェア

pagetop