明日、あなたが目覚めたら
思い出を語り合えなくてもいいの。
一緒に懐かしめなくてもいいの。
ただ、あなたが私といた日々を覚えてくれているという、その事実さえあれば。
私はもう、それだけでよかったのに。
「それさえも、もうだめなの……っ?」
あつい、あつい、あつい。
身体中がじんとあつくて、意識がぼうっとする。
もう自分が何を言ってるのかさえもわからない。
「……でも、ね」
視界がぐらりと揺れて。
……ああ、私倒れるんだな。
そんなことを思う余裕があるくらい、その一瞬を長く長く感じた。
「智に、苦しい思いをさせちゃうのは、もっと、いやだ、よ……」
このまま永遠に目が覚めなければ、楽なのにね。
いっそ夏にとけて、消えてしまいたい。
「ちぃちゃん……‼」
透き通る青がまた視界いっぱいに広がったとき、先輩の叫ぶような声が遠くで聞こえたような気がした。