明日、あなたが目覚めたら



「寝てないっていうか?」と首を傾げる真波先輩にハッとする。


こんなこと言っても困らせちゃうだけだ。



「あ、いや……そういえば真波先輩もしかしてすごく怒られたんじゃないですか?」



ごまかすように言うと、真波先輩は「いやー、うーん」と言葉を濁した。

……怒られたんだ。


まあ、そりゃそうだよね。



「……なんか、すみません」


「いや、そんな怒られてないんだよね」


「そんな嘘つかなくていいですよ。
授業サボった上に立ち入り禁止の屋上なんて入ったんですから……」



逆に怒られないほうがおかしいっていうか。



「いやほんと。むしろ先生、ちぃちゃんの心配ばっかりしててさ。
ていうか、屋上のこと言ってないし」


「え、言ってないんですか⁉」


「そう、ナイショだよー?」



「中庭でサボってたことにしてるから」と、唇の前で人差し指を立てて、真波先輩がいたずらっ子みたいにクスクス笑う。

……さすが真波先輩というか、なんというか。


こういうことに慣れてる感じがすごい。


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