明日、あなたが目覚めたら
「じゃあ、先生呼んでくるね?
今、職員室にいるからさ」
「あ、わかりました……」
すいません、と頭を下げると「ちぃちゃんが素直〜」と茶化された。
……うん、むかつく。
真波先輩にはもう一生頭なんて下げないんだから。
保健室から出て行こうとするその背中をキッと睨みつけると、タイミングを見計らったみたいに真波先輩が振り返る。
「あ、そだ、ちぃちゃ……ぷっ、なに睨んでるの。
全然こわくないんだけど、くくくっ」
「……うるさいですよ」
「さすが、ちぃちゃ……っくく。 さすがさすが」
……笑いすぎなんだってば。
もうなにも言い返す気になれなくて、じとっと睨みながら、私は真波先輩が笑い終えるのをただ待ち続ける。
「ひー、お腹痛い」
目尻の涙を拭って真波先輩が言う。
やっと笑い終えたみたいだ。
いや、まだ口もとにやけてるけど。
「……もういいですか」
「いやーまだ笑える」
「笑わなくていいです」