明日、あなたが目覚めたら
「よーしっ」
シン、と重い空気を吹き飛ばすように、智のお母さんがにこっと笑った。
「千沙ちゃんの意思も聞けたことだし……智に、会いにいこっか!」
「い、いいんですか……?」
「なに言ってるの〜、そのために勇気を出して今日来てくれたんでしょー!」
……そうだ。
ここまで来るのに。
勇気を出すのに。
とても時間がかかった。
自分がどうしたいか、それがハッキリしても。
真波先輩がいくら『大丈夫』と安心させてくれても。
不安はいつだって私につきまとって。
長い間ずっと逃げてばかりだった私は、その一歩がやっぱりとても怖かった。
だけどそれを乗り越えさせてくれたのは、他でもない。
『智に、会いたい』
不安なんかよりも大きく膨れ上がった、確かなその気持ちだった。
「行きます、智に会いに」
怖くないと言ったら。
引き返したくないと言ったら。
それは、大嘘になるね。
だけど、やっぱりあなたに会いたいよ。
あなたのそばにいたいよ。
ーーそして、今度は、きっと。