明日、あなたが目覚めたら
.
「智、ただいま〜」
「あ、母さん。 おかえ、り……え?」
ベッドで寝たきりの智が、私を見るなり大きく目を見開いた。
あからさまに、なんで?って顔。
「智、この人は藤江千沙さん」
「ふじえ、ちさ……さん」
「そう」
「……なんで、急に?
俺が何回聞いても、『もう忘れて』の一点張りだったのに……」
智のお母さんが、私をちらりと見て『ごめんね』とアイコンタクトをくれたけれど、それはなんとなく予想していたから大丈夫だ。
だって智のお母さんはそう答えるしかないもん。 仕方がない。
「あのね、智。 よく聞いて」
真剣な声色。
真っ白な空間に、緊張が走る。
ああ、この場から逃げ出したくなる。
だけど、だめだ。
もう決めたんでしょう、私?
「あなたは、記憶を一部なくしているの」
きっと私は知らないうちに智を傷つけていたんだよね。
だけど私はもう、智を傷つけたくなんてない。
もう、傷つけない。
「智、ただいま〜」
「あ、母さん。 おかえ、り……え?」
ベッドで寝たきりの智が、私を見るなり大きく目を見開いた。
あからさまに、なんで?って顔。
「智、この人は藤江千沙さん」
「ふじえ、ちさ……さん」
「そう」
「……なんで、急に?
俺が何回聞いても、『もう忘れて』の一点張りだったのに……」
智のお母さんが、私をちらりと見て『ごめんね』とアイコンタクトをくれたけれど、それはなんとなく予想していたから大丈夫だ。
だって智のお母さんはそう答えるしかないもん。 仕方がない。
「あのね、智。 よく聞いて」
真剣な声色。
真っ白な空間に、緊張が走る。
ああ、この場から逃げ出したくなる。
だけど、だめだ。
もう決めたんでしょう、私?
「あなたは、記憶を一部なくしているの」
きっと私は知らないうちに智を傷つけていたんだよね。
だけど私はもう、智を傷つけたくなんてない。
もう、傷つけない。