明日、あなたが目覚めたら
.



「……は?」



私のとなりで自転車を押す真波先輩の、私の話を聞き終えての第一声はそれ。

ぽかんと口を開いて、私を見る。


真波先輩とは、私が学校帰りにそのまま智の病院に行くから……だから、たまたま居合わせて一緒に帰ることになったんだ。



それで真波先輩にはいつも話を聞いてもらってるから、昨日のこととかも全部話したんだけど……。


こんな間抜けヅラしても、イケメンはイケメンなのか……。

なんか羨ましいを通り越して、妬ましくなってきた。



「なんなんですか、その顔」


「……ああごめん、予想外すぎて」



……予想外?

私の思っていることを表情から察したのか、真波先輩はこくんと頷いた。



「記憶を取り戻させることはしないだろうって、わかってたけど……」


「……けど?」


「まさか、 “恋人同士” に戻るつもりがないなんて言うとは思わなかった。

また好きになってもらえるように頑張ります、とかそんなこと言うんだと……」


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