明日、あなたが目覚めたら



そして振り向いた先輩に、私は微笑んだ。


気を抜いたら、泣いてしまいそうだった。




「だって、私は……智がどうして急に私に冷たくなってしまったのか、どうして私をストレスに感じるようになったのか……。

なにも、わかっていないんですから」



それはきっと、また同じ過ちを繰り返してしまうということ。

また、知らない間に智を傷つけてしまうということ。


……また、あんな風に、私に笑顔を見せてくれなくなるということ。



「それに!
私なんかに好き好き言われたら、それをキッカケに思い出しちゃうかもしれないでしょ? 悪夢だー!って。

そんなの意味ないじゃないですかー」



ふざけたようにケラケラ笑ってみせると、「そうだね」と真波先輩も笑った。


……でもね、先輩。
すごく下手くそなんだよ、その笑顔。


なんで先輩がそんなにも悲しそうなの?

やめてよ。 全部全部、見透かされてるみたいじゃんか。


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