明日、あなたが目覚めたら
.



「佐伯くん、こんにちはー」


「あ、ああ、こんにちは。 ……えっと、藤江さん」



ベッドを起こして窓の外を見ていた智が、私を振り返ってぎょっとする。


昨日の今日だから、私が来てびっくりするのは仕方がないとして……。



「……その反応、新鮮すぎる」


「え?」


「い、いやなんでも!」



あっぶない。

気を張ってないと、うっかりなにか変なことを言っちゃいそうだ……。



「あ、ねえねえ。 病院のベッドって起き上がったりするんだね、知らなかった」


「そうなんだよ、ほれ」



ウィーンウィーン、とベッドを起き上がらせたり下げたりする智。

こちらを向いてゆっくり上下するその姿は、あまりにもシュールすぎる。



「……て、ちょっと! なにしてるの‼」



その大ケガでそんなことして、もし何かあったらどうするつもりなの!

ゆっくり動いてるけど‼
それでもそんな上下しちゃだめ‼


びっくりしすぎて、ちょっとだけ呆気にとられちゃったじゃない!


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