明日、あなたが目覚めたら



「あはは、大丈夫だよ」


「全然大丈夫じゃないよ‼」


「暇だから最近こうして遊んだりするんだけど」


「やめよう⁉」



危ないから‼ いろんな意味で!


反射的にツッコミをいれていく私に、智はクスクスと笑う。


はっ、なにしてるんだ私……。


……でも、こんなに肩の力を抜いて智と話せるのは本当に久しぶりのことで、素直に嬉しい。

そうだな、夢なんじゃないかって泣きそうになるくらいには。



「藤江さん、意外だね」


「え?」


「一見クールそうなのに、実はそうでもないよね」



一見、クールそう、なのに……。

どこかで聞いたことのあるその言葉。



「……藤江さん?」


「あっ、ごめん! なんでもない」



ああ、あの日か。


……一瞬、重なった。



『藤江さんの方が意外だったけど』

『一見クールな感じなのに』



そう言った、あの日。

まだ私が心奪われる前の、出会ったばかりのあなたと。


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