明日、あなたが目覚めたら



私はゆっくりとコートへ移動する。


男子と女子は別々のコートでするようだ。

だけど、休憩中のときは好きなところへ移動してもいいらしく、女子のコートの周りにも男子が何人かいた。



「じゃあ、Aグループ対Bグループの試合を始めます」



先生がピーッと笛を鳴らすと同時に、ふわりとボールが高く浮く。



目の前がぼーっとする。

だめだ、ちゃんとボールを追わなきゃ……。




「千沙、パスッ‼」



ハッとすると、同じグループの友梨から優しいボールが飛んできた。



私は、それをキャッチすると少し離れたリングに向かって丁寧に投げる。



ーーシュッ


ボールはゆっくりとリングをくぐった。


すると、ワッとコートが盛り上がる。




「ナイシュ、千沙っ‼
スリーポイントだなんて、さすが!」


「……ん、あんがと」



……声をかけてくれる友だちの顔が、ボヤけて見える。


さすがに、これはヤバイかもしれない。


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