明日、あなたが目覚めたら



「あ、そうだ。 おばさんは……?」


「ああ、今日は仕事で遅くなるって」



そっか。

確かに、ずっと智につきっきりってわけにもいかないよね。


もう智も目を覚ましたわけだし。


バスケをしていたこともあってか、お医者さんに言われていたより回復もずっと早いみたいだしね。



うんうんとひとり納得する私に、「あのさ」と声がかかった。

それはさっきまでの和やかな雰囲気ではなくて。


あ、くるな、って思った。



「聞きたいこと、いっぱいあるんだけど……いい?」


「うん、もちろん」



私の口から出るのは、きっと嘘で塗りつぶされた答えばかりだろうけれど。


でも、大丈夫。

塗りかさねられた嘘は、いつかきっと、 “真実” になる。


ならなきゃ、いけない。




「なにが聞きたいの?」



だから、それまでは貫き通させて。

この自分勝手な嘘を。


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