明日、あなたが目覚めたら




視界が、ユラユラと揺れる。



「……っ」



私がコートの隅で、中腰になり膝に手をついていると


「危ない……っ‼」

と、遠くから誰かの叫ぶような声が聞こえた。



顔を上げると、だんだんと迫ってくるバスケットボール。


しんどくて動きが鈍った私はそれに反応することもできない。




ーーグイッ

強い力に引っ張られて、体が傾いた。



「……え」



それは、一瞬のことだった。



誰かに手を掴まれたと思うと、ふわり体が宙に浮いたような気がした。


前にかかる体重。



ゆっくり、ゆっくり……倒れていく。


なにがなんだか考える暇もなく、ふと意識が飛ぶ瞬間。




視界いっぱいに広がったのは、とても綺麗な男の子の顔だったーー。




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