明日、あなたが目覚めたら
.



ふわっ。

柑橘系の匂いが私の鼻を掠めた。



「……んっ……」



重たい瞼を無理やり開けると、目の前立つボンヤリとした人影。

だれ……?


徐々に、視界がハッキリとしてくる。



「あ、起きた」



目の前にいたのは、意識を失う直前に少しだけ見えた綺麗に整った顔だちの男の子。


程よく白い肌に、人懐こさそうな垂れ目。 スッと通った鼻筋。

それに、なんだか色気を感じさせる左目尻にある泣きぼくろ。


……美少年だ。



て、違う違う。

そんなことじゃなくて!


私を助けてくれたであろうこの美少年は、いったいだれなの。


私、こんな人初めてみた。

……いろんな意味で。



「……どなたですか」



私がぶっきらぼうに言うと、男の子は嫌な顔ひとつせず、にっこりと笑った。



「俺は、4組の佐伯 智」


「……腕、引っ張ってくれた?」


「うん」


「それは、どうも……」



やっぱりこの人が、さっき助けてくれたんだ……。


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