明日、あなたが目覚めたら


普通、女の子なら可愛く「ありがとう」なんて言えるんだろうけど……。

私は男子となんて滅多に喋らないし、どんな風に話していいか全然わかんないや。



「あれ……?」



ポツリと小さく声が漏れる。


……さえき、とも?

なんか、聞いたことがあるような気がする。


えっと……うーんと……。

起きたばかりで全く冴えていない脳をぐるぐると働かせる。


……あ。



「男子のスポーツテスト、1位の人」



そうだ、たしか昨日話してた人だ。



「え、なにそれ」



佐伯くんは、目をパチクリさせる。



「違うの?」


「いや、まぁ合ってるけど」


「やっぱり」



へえ……なんか、思ってたのと全然違う。


スポーツテストは当然のごとく1位だなんてみんなが言うから、もっとゴツくて暑苦しそうな人かと思った。



佐伯くんは、どちらかと言えば華奢だし。

背だって、言うほど高くない。
もちろん、私よりは確実に高いと思うけど。


なんていうか、佐伯くんは……綺麗。

体育会系って感じが全然しない。


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